A脳
脳波と犯罪の関係については様々な研究が行われてきた。
まず、脳波について。
●脳波について
脳波とは、脳がその活動の中に発生する100万分の1〜5ボルト、
8〜12サイクル毎秒程度の微弱な電波のことである。
測定方法は、かつては、脳に直接電極を差し込み、測定していたが、
今では、頭皮に伝導率の高い金属をつけて、頭蓋骨ごしに
脳波を収集することが可能である。
またMRIやCTでも測定が可能になった。
※脳波はα波、β波、θ波などに分けることが出来る。
▽α波・・・平均30〜50マイクロボルト、12サイクル毎12秒。例)目を閉じ安静にしたとき。
▽β波・・・13サイクル毎秒異常、30マイクロボルト以下。例)緊張状態、通常状態。
▽θ波・・・4〜7サイクル。α波より少し緩やかなもの。例)深呼吸状態。
これらの波が異様に大きく触れてたり、小さすぎたりするときのことを、異常脳波とよぶ。
1949年、D・スタンフォードクラークは殺人犯の脳波を調べ、
殺人犯の脳波には異常脳波が多いことがわかった。[参考文献B、F、I]
異常脳波の原因には、
*大脳の発育不全
*大脳皮質の刺激の低下
*癲癇
*脳障害
があげられるが、どれが原因かははっきりと特定されていない。
次に、脳障害について。
●脳障害
脳の外傷や、栄養の摂取不足などの影響により脳機能に障害が起こり、
それが犯罪につながる、という研究だ。
気質的異常と犯罪の関連性の研究では
*脳腫瘍
*脳損傷
*中枢神経疾患
*前頭葉の損害
*脳半球機能障害
が中心となっている。
特に脳腫瘍と犯罪では、1966年に起こった「ホイットマン事件」
他にも、
が有名である。[参考文献B]
しかし、専門家間でも本当に脳腫瘍がこの犯罪に何かの影響を与えたか、は
結論が出なかった。
*脳半球機能障害
*注意欠陥・多動性障害(かつて微細脳機能障害)
*学習障害
などが犯罪と結びついている、と考えられ研究されている。
様々な脳障害と犯罪との結びつきが研究されてきたが、
脳障害と犯罪が本当に相関関係にあるのか、は十分に解明されていない。